神奈川県伊勢原市の歴史

伊勢原市は、神奈川県のほぼ中央に位置する市です。市の北西端に位置する大山が有名な市です。1960年代前半までは純農村地帯でしたが、1960年代後半から宅地開発が進み、現在では東京郊外のベッドタウンとしての側面が強くなっています。ベッドタウン化が進む一方で、稲作、果樹作、酪農などの農業は現在でも神奈川県内では盛んな部類に入ります。
伊勢原市にある大山は、相模平野の西にそびえ立つ山です。神仏の宿る霊山として、古くから厚い信仰を集めてきました。特に江戸時代中期には、大山御師の活動による大山講の組織化が進展し、相模武蔵国内はもとより、駿遠豆・甲信越・房総方面の人々が、雨乞い・五穀豊穣・家内安全・商売繁盛などの現世利益を求めて「大山参り」を盛んに行いました。このため、各地から大山へ至る道には大山参詣人の姿がみられ、主要な道は「大山道」とか「大山街道」と呼ばれるようになりました。
山麓一帯には講中を迎えるために御師が経営する宿坊やみやげ物屋が軒を連ね、門前町が形成されました。「大山参り」は「伊勢参り」とは異なり、旅程も極めて短いうえに、参詣後の「坂迎え」という帰国者の出迎え行事などがない気軽さ、気安さも手伝って、関東一円の民衆に受容されて隆盛したと思われます。特に夏山と呼ばれる時期には集中して多くの人々が訪れました。大山信仰の全盛期にあたる宝暦年間には、参詣者は一年間で数十万人にも達したといわれています。